xls-hashimotoのExcel学

どこまで除染すればいいの

田村市都路町で「除染要領」を作成中の兄（橋本利重）から、「除染前線量率がいくつの所を、
除染後線量率をいくつにするには、どこまで除染すればいいの」との問合せがありました。

そこで、
JAEA-Technology 2011-026 「汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討」
を参考に、
「Excel による汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討（第2版）」
「ソルバー」アドインによる汚染密度のxls-hashimoto式算出
「Excel による点減衰核積分もどき計算法」による解法
を作りました。

除染前線量率と除染後線量率を入力し、「ソルバー」アドインを実行すると、
その除染前線量率になる汚染密度を自動計算し、除染後線量率になるための除染半径を表示します。
ただし、計算条件が厳しいので、Excelのファイルサイズが27MB近くになりました。
興味のある人だけダウンロードして、使用してください。
Excel による汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討（第2版）
Excel による汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討（第2版）（Excel 26,877kB）

計算条件は、
  • 核種は、Cs-137が100%としました。エネルギーと放出比の違う5種類の光子を放出します。
  • 放出される光子のエネルギーと放出比は、「Table of Isotopes Eighth Edition」によりました。
  • 汚染は、1cm（0.01m）毎の単位半径の円周上に一様にあるものとしました。
  • 汚染領域は、Excel2003の65,536行の限界から、半径600m（半径1cm毎の円が60,000本）としました。 外側から中心に向かって計算し、積算していくことで中心位置での線量率を計算しました。
  • 「1cm線量等量率換算係数」と「空気カーマ率換算係数」は、「JAEA-Technology 2011-026」のものを用いました。 光子のエネルギー毎に、LN-LN補間計算をしました。
  • 空気による減衰を考慮しました。「アイソトープ手帳 11版 P153 空気の20ﾟCにおける線減衰係数」を用いました。 光子のエネルギー毎に、LN-LN補間計算をしました。
汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討_P4

計算結果は、
「JAEA-Technology-2011-026」と比較して、小さな線量率となりました。しかし、低減効果は大きくなりました。
これは、「アイソトープ手帳 11版 P153 空気の20ﾟCにおける線減衰係数」を用いたことや、
空気のビルドアップ係数を一切考慮していないこと等によるものと思われます。
結果比較

測定点の高さ（計算点の高さ）も変更できる様にしました。

計算条件を変えて、いろいろ計算してみてください。

福島県が主催し、日本原子力研究開発機構（JAEA）が共催している「除染業務講習会」で、
平成23年12月に配布した資料「除染方法」の中に次の様なページがあります。
1mでは減らない
「例えば、測定器の周囲半径1mを除染しても、測定値は大きくは減らない。」と記されています。
除染半径（確認）に「1」mを入力すると、約8%しか減らないと計算されます。
測定器の針の振れからは、除染できたことがなかなか実感できない数値です。

!!　注　　　　意　!!

「Excel による汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討（第2版）」は、
Excel2003では動作が不安定になります。
再計算されないセルが存在し、グラフが更新されません。原因は不明です。
しかし、Excel2007・Excel2010では問題無く動作します。
Excel2007・Excel2010を使用してください。

「Excel による汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討（第3版）」は、
xls-hashimotoの独断と偏見で作られています。
したがって、100%完全な物ではありません。バグや間違いや勘違いもあると思います。
個人の責任で、気をつけて使ってください。改変自由です。
ただExcelは、この様な計算でも十分にこなせることを理解してください。

Excel2007でのソルバー アドインのインストールは、
「ソルバー アドインを読み込む」を参考にしてください。
Excel2010でのソルバー アドインのインストールと使い方は、
「ソルバー アドインを読み込む」を参考にしてください。

※　追　　　　　加　※

Excel2007・Excel2010で動作する事がわかったので、
Excel2007・Excel2010のファイルフォーマットにしたものを作りました。
ついでに汚染領域を、JAEA-Technology-2011-026と同じ800mにしました。
セル行数で80,000行です。Excel2003では、できない芸当です。
しかし、ファイルサイズは、19,622kBと小さくなりました。
計算結果は、中心位置では4～5桁目が変わる程度です。
Excel による汚染土壌の除染領域と線量低減効果の検討（第2版）
（Excel2007・Excel2010専用 19,622kB）

「空間線量率の計算」について、いろいろな資料が掲載されています。参考にしてください。
空間線量率の計算　2011年6月 (2011年7月追加)　京都市立芸術大学 藤原隆男氏
ベクレルからシーベルトへ　2011年6月1日（2011年7月2日） 学習院大学　田崎春明氏
地表のセシウムによるガンマ線の空間線量率　2012年5月6日 学習院大学　田崎春明氏
牧野の公開用日誌　2011/4/29　東京工業大学　牧野淳一郎氏
放射線技術に関するプログラムソフト，物理データなど　2012/8/16　藤田保健衛生大学　加藤秀起氏


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